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太陽系外惑星はどのようにして発見されるのでしょうか? |
ここでは、重力マイクロレンズ法 についてご案内します。 ←前へ その他の発見方法 次へ→
この手法はアインシュタインの一般相対性理論から導かれる「重力レンズ効果」をうまく利用した方法です(図3)。
(図3)重力マイクロレンズ法の概念図
重力レンズ効果とは、光が天体の重力によって曲げられ、天体があたかもレンズとして働く効果のことです。光の曲がり具合はレンズとなる天体(以下、レンズ天体)の質量が大きいほど強く、銀河や銀河団のような大質量天体がレンズ天体となる場合は、背後の銀河から来る光が強く曲げられて像が大きく歪んで見えます。
一方、重力レンズ効果はもっと近場の恒星同士でも起こります。ただし恒星の質量は銀河に比べてずっと小さいため、重力レンズ効果が現れるのは地球から見て2つの恒星が視線方向にほぼぴったりと重なった場合に限られます。しかも、背後の恒星(以下、光源星)に生じる像の歪みはごくわずかなため、この像の歪みを検出することは極めて困難です。その代わりに、重力レンズ効果で光源星の光が集光されることで光源星が明るくなる「増光現象」を観測する事が出来ます。この増光現象のことを「重力マイクロレンズ現象」と呼びます。
夜空の恒星はいずれも、日周運動とは独立に固有の速度で天球面上を徐々に移動しています。重力マイクロレンズ現象を起こす2つの恒星も、天球面上を相対的に移動しているため、光源星の明るさの変化(光度変化)は2つの恒星が最も近づくときをピークとした釣鐘状となります(図4左)。ここで、もしレンズ天体の恒星(以下、レンズ星)のまわりに惑星が存在していると、光源星の光はこの惑星の重力の影響も受けるため、もともと左右対称だった釣鐘状の光度変化が左右非対称のいびつな形になったり、短時間の別のピークが現れたりします(図4右)。このような光度変化にみられる複雑なパターンを捉えることで、レンズ星のまわりに惑星が存在していることが分かります。この方法が「重力マイクロレンズ法」です。
図4:レンズ星に惑星が付随しない場合の光源星の光度変化(左)と、惑星が付随する場合の光源星の光度変化(右)。
重力マイクロレンズ法では、これまで(2014年8月時点)に32個の惑星(30個の惑星系)が発見されています。今回の命名キャンペーンでは、そのうち8個が305個の命名候補にノミネートされています。また、これらの惑星の発見には、日本の名古屋大学や大阪大学などが主導する研究チーム「MOA(モア)」が大きく貢献をしています。MOAはニュージーランドのマウントジョン天文台に専用の望遠鏡を設置して、海外の研究チームと協力しながら精力的に惑星探索を進めています。
重力マイクロレンズ現象は発生する確率が低いため、発見の効率を上げるために星が最も密集した「銀河系中心」の領域で探索が行われています。そのため、これまでに重力マイクロレンズ法で発見された惑星は全て銀河系中心の領域が広がる射手座と蠍座の方向に存在しています。また、重力マイクロレンズ法は他の発見手法とは異なり、地球からかなり遠方(数千〜2万光年)の惑星を発見しやすく、さらに主星からの距離が比較的離れている(数天文単位)、つまり冷たい惑星を発見しやすいという特徴があります。
文責: 福井暁彦(国立天文台)
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◆ 関連サイト: MOAホームページ(カンタベリー大学、英語):http://www.phys.canterbury.ac.nz/moa/
MOAホームページ(名古屋大学):http://www.stelab.nagoya-u.ac.jp/ste-www1/div3/CR/MOA/Intro/ 天文教育普及研究会 太陽系外惑星命名支援WG
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