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太陽系外惑星はどのようにして発見されるのでしょうか?

ここでは、トランジット法 についてご案内します。

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 3.トランジット法



 トランジット法は、惑星が主星の前を通り過ぎる(トランジットする)現象を観測する方法です。系外惑星の中で、このように主星の前をトランジットする、すなわち食を起こすような公転軌道をもつ惑星のことを「トランジット惑星」と呼びます。

 トランジット惑星が食を起こす際には、惑星が主星の一部を隠すため、主星がわずかに減光して観測されます。惑星がトランジットをする際に主星の明るさをモニターすると、図2のような明るさの変化(光度曲線)が見られます。このデータを解析すると、減光の深さから主星と惑星の半径比、減光の継続時間から惑星の軌道傾斜角と主星の密度などを求めることができます。さらにこれらの情報を視線速度法から得られた惑星の質量の情報と合わせると、惑星の密度を調べることができ、そのトランジット惑星が主にガスでできているのか、岩石のように密度の大きな物質でできているのかなどを調べることができます。


(図2) 明るさの変化(光度曲線)



 トランジット惑星を発見する方法は、大きく分けて二つあります。一つは視線速度法で見つかった惑星がトランジットをしているかどうかを、トランジットが起こると期待される時刻付近に測光観測を行って調べる方法(測光フォローアップ)で、もう一つは惑星が存在するかどうか分かっていない非常に多数の星の明るさをモニターし、周期的な減光を起こす恒星を探す方法(トランジットサーベイ)です。

 1999年にトランジットが発見された初めてのトランジット惑星HD209458bは、測光フォローアップの方法で発見されました。当時大学院生だったデイヴィッド・シャルボノー氏らは、視線速度法で発見されたこの惑星に対して口径28cmの望遠鏡を用いて測光フォローアップ観測を行い、約1%の減光を捉えることに成功しました。今ではこの惑星のトランジットは、世界中のアマチュア天文家や天文部に所属する高校生・大学生らに観測されています。

 一方、トランジットサーベイでは、地上の観測グループによっておよそ200個のトランジット惑星が発見されており、また2009年に打ち上げられたNASAのトランジットサーベイ専用のケプラー宇宙望遠鏡によって、既に1000個を超えるトランジット惑星が発見されています。現在もトランジットサーベイは精力的に続けられており、いくつもの地上観測グループが日々トランジット惑星の探索を行っています。特に、XOやKELTといったトランジットサーベイグループには、アマチュア天文家の方も精力的に参加しています。また、2014年からケプラー宇宙望遠鏡が一時休止から復帰し、K2計画として黄道面のトランジット惑星探しを行っています。

 さて、トランジット法では既に1000個以上のトランジット惑星が発見されていますが、なぜさらに新しいトランジット惑星を探す必要があるのでしょうか? 

 その答えは、これまでのトランジットサーベイが、太陽系から比較的離れた恒星(典型的に100光年以遠)のまわりの惑星を探していたため、太陽系に近い恒星を公転するトランジット惑星がまだあまり発見されていないためです。今後は太陽系に近いところにたくさん存在している約4000K以下の低温度星(太陽はおよそ5778K)のまわりでトランジット惑星探しが行われて行きます。そのように太陽系に近いところにある主星のまわりのトランジット惑星は、将来高精度な惑星の性質調査を行う絶好のターゲットとなります。特に2017年に打ち上げられる予定のトランジットサーベイ衛星TESSでは、太陽系の近くにある低温度星のまわりで生命居住可能領域にある惑星を発見できると期待されています。そのような惑星の詳細なフォローアップ観測は、これからの天文学のとても面白い研究テーマとなるでしょう。

文責: 成田憲保(国立天文台)






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