(10) xi Aquilae (わし座カイ) 系
提案された名前の紹介(11件)

IAU公式サイトの投票ページに掲載されている、各団体が書いた文章(英文)をもとに提案名の由来について簡単にまとめました。史実や神話、小説等の厳密な内容については責任を負いかねますので、ご了承下さい。(ここに記載した由来は提案者の記述によるものであり、必ずしも事実を反映しているとは限りません。)

また提案名によっては、公式投票ページより、提案者からの動画にリンクが貼られているものがあります。この日本語サイトではリンクを貼っていません。動画は公式投票ページのリンクよりご覧下さい。

[ ]は訳者による補足

※ 公式サイトの投票ページにおいて、提案名の記載の順番がページ開き直すたびに変わります。ご注意下さい。

主星or惑星名提案名 <日本のグループからの提案>
xi AquilaeLiberty 自由
xi Aquilae bFortitude 不屈の精神

提案者からの解説あり:
世界には今日でさえも、様々な自由を奪われた大勢の人々がいます。 キング牧師やマハトマ・ガンジー、ネルソン・マンデラなど、偉大な先人たちは不屈の精神を胸に宿し、自由の為に戦ってきました。続きを読む


主星or惑星名提案名 <日本語名>
xi AquilaeHishinokataribe 星の語り部
「星の語り部」とは「星々について語る人」という意味。わし座クシー星はアルタイルの近くに見え、アルタイルは「七夕」の主人公である。七夕の物語は日本と中国ではとても有名。物語は7月7日の晩に設定され、多くの人々が7月7日には夜空を見上げ、この話を語っている。これは1年で最も知られている星祭りである。わし座クシー星はアルタイルの近くに見えるので、「星の語り部」と呼ぶのに相応しい。この名は、また、我々の組織の名称でもある。というのは、我々は星々や宇宙の話を語っているからである。宇宙には無数の星がある。しかし、どの星にもそれぞれの個性があり、我々はそれぞれの“物語”を紡ぐことができる。これは人々を思い起こさせるだろう。星々を見上げる時にはいつでも、人々にその話を聞かせたい。この名前にはその願いが込められている。
xi Aquilae bYusumi 夕涼み
日本には夏の夜になると屋外に留まり、涼しさを楽しむ習慣がある。これを“夕涼み”といい、家族や友人に星々や宇宙について語るには最適の状況となる。太陽系外惑星にいる地球外生命について語る人も居るかも知れない。わし座クシー星は夏の夕方には見やすいところに昇ってくる。我々は、この日本の良き伝統的習慣を引継ぎ広めて行きたいと思っているし、和やかな宵に多くの人々が星々を見上げることも願っている。


主星or惑星名提案名 <日本語名>
xi AquilaeKagura 神楽
日本の神話や歴史に基づく伝統的な舞踏。
xi Aquilae bOrochi 大蛇
八岐大蛇または大蛇は日本神話に登場する巨大な蛇。大蛇はまた神楽で最も広く知られた演目である。


主星or惑星名提案名 <日本語名>
xi AquilaeHouoh 鳳凰
鳳凰は中国の伝承に搭乗する鳥である。この鳥は東アジアで知られている。西洋のフェニックス[不死鳥]に似た鳥である。日本では、この鳥は1万円札と10円玉に描かれている。平和の象徴であり、この名前は世界中の人々が使うに相応しい名前であろう。
xi Aquilae bKiri
この単語は日本語で桐の木を意味する。鳳凰がとまる唯一の木である。桐の意匠はよく使われており、たとえば、日本の500円玉や日本政府の紋章、私たちの学校の校章にも使われている。


主星or惑星名提案名 <日本語名>
xi AquilaeShiratama 白玉
わし座が見える夏によく食される、日本の伝統的なお菓子である餡蜜に入っている白い餅のこと。
xi Aquilae bKuromame 黒豆
わし座が見える夏によく食される、日本の伝統的なお菓子である餡蜜に入っている黒い豆のこと。


主星or惑星名提案名
xi AquilaeIgnitus Aquilae イグニトゥス・アクイラエ;わし座の炎
Ignitus[イグニトゥス]はラテン語で炎を上げている、燃えている、火花を散らしている、ないし、明るいという意味で、後の2つは恒星の特徴と関係している。強調すべきことは、ラテン語のIgnisには火という意味があり、この星が赤色巨星であることから炎の色との関係からとても相応しいといえる。Aquilae[アクイラエ;“わし座の”の意味]は場所に由来する。
xi Aquilae bDemcritus Hs1 デモクリトスHs1
1つの恒星の周囲に1つの惑星が巡っていることしかわかっていないことから、1個の陽子の周囲を1個の電子が巡っている水素原子を思い出した。水素原子はHで、s1は電子の分布を示す。そして、デモクリトスは原子を最初に想起した人である。


主星or惑星名提案名
xi AquilaeEzu エズー
この星はEduard Zuev (1934-2005)にちなんでエズーと名付けたい。この人はロシアのイルクーツク地方において天文学とアマチュア用望遠鏡の普及にめざましい業績を上げた人で、イルクーツク天文クラブの創始者である。
xi Aquilae bHeroics ヒロイックス
“Heroics”はラテン語で叙事詩を意味し、太陽系で最大の惑星である木星のほぼ3倍の質量をもつ惑星で、太陽系なら地球よりもずっと近い軌道を地球の半年より短い時間で1周しているのだ!


主星or惑星名提案名
xi AquilaeWormhout ヴォルムー
1996年に“ヴォルムー天文学”が作られた町の名[フランス北部ダンケルク近くの町]である。
xi Aquilae bTélémaque テレマク
ギリシア語のΤηλεμαχóçから来たフランス語での名前。 直訳すれば“遠くの戦士” わし座クシー星 bは地球から遠く、この惑星では生きるための戦いが繰り広げられているかも知れないので。


主星or惑星名提案名
xi Aquilaede Heinzelin デ・ハインツェリン
Jean de Heinzelin de Breucourt[ジャン・デ・ハインツェリン] (1920-1998)はベルギーの地質学者であるが、国際的に有名な考古学者として知られる。彼はアフリカのエドワーズ湖[中部アフリカのコンゴ民主共和国とウガンダの国境にある]にあるセムリキ川 [同じくコンゴ民主共和国とウガンダの国境にあるアルバート湖とを結ぶ] 流域を探検し、イシャンゴと呼ばれる、削って刻みを付けた多数の動物の骨を発見した。デ・ハインツェリンが発見した、そのうちの1つは最古の数学的な対象物と考えられている。これは2万年以上前のものとされている。
xi Aquilae bIshango イシャンゴ
これは、大発見時代の実例であり、探検家の起源とともに新たに発見された場所に付けるべき名前である。人類の起源はアフリカにあり、人類の数学的能力は、我々の存在のごく初期から、既に備わっていたことが知られている。イシャンゴに近いものが人類最古の数学的な“刻み”として発見されている。紀元前約22,000年のものとされる骨には数学的な道具としか考えられない刻み線が着いている。イシャンゴの町は中央アフリカのコンゴ民主共和国にあり、赤道近くのエドワード湖のほとりにある。その骨は1960年にジャン・デ・ハインツェリン・デ・ブラウコートが発見した。この数学的基礎がなければ太陽系外惑星は決して発見されなかったであろう。算数の最初の祖先に敬意を表して、イシャンゴを太陽系外惑星の1つの名前としたい。 わし座クシー星を選んだのは、その赤緯がイシャンゴの緯度に最も近いからである。
訳者注:ベルギー人の記述らしく、ところどころ英文の欧文風の誤記がある。たとえば、bij[蘭語]はby、AC[イタリア語表記]はBCの誤記と解釈。


主星or惑星名提案名
xi AquilaeCradle クレイドル
古代中国の恋愛伝説に由来する“クレイドル[英語で揺り籠の意味]”という名を使いたい。 この伝説によれば、織女と牽牛はお互いに愛し合っており、無慈悲な西の女帝のなすがままに、天の川の両側に引き裂かれてしまった。そして、この星は牽牛と織女の2人の子供の一方を表している。牽牛は2人の子供を連れ、棒を持って橋を渡り、毎年7月7日に彼の妻に会っていた。そこで、この星を揺り籠と呼びたい。揺り籠の中で誕生したのは2人の愛の結晶である。これはまた、よりよき人生に対するあこがれることも表している。
xi Aquilae bMagpie マグパイ
古代中国の恋愛神話に由来する“マグパイ[英語でカササギという名の鳥]”という名を使いたい。 この伝説によれば、織女と牽牛はお互いに愛し合っており、無慈悲な西の女帝のなすがままに、天の川の両側に引き裂かれてしまった。しかし、2人の愛は決して変わることなく一貫していた。 親切なカササギの一群が年に1度、集まって橋を架けてくれるので2人は再会することができる。この名前を選んだ理由は以下の通りである。まず、わし座クシーb星はアルタイルに近く、東洋文化の視点では、この星は牽牛を表す。したがって、カササギは当然考えられよう。さらにいうと、カササギは中国文化圏では幸運の象徴である。中国文学にはカササギに関する無数の詩や諺がある。したがって、これは東西文化交流を促すよいきっかけとなるだろう。最後に、人々が真の愛を持ち続けることを勧め、たとえ大変なときでも万人の心に共感を覚えることに繋がるだろう。


主星or惑星名提案名
xi AquilaeGobidin ゴッブ・イドゥ・イン
鷲を意味するビーオタック語[カナダ、ニューファウンドランドの原住民語]。1851年のウィリアム・エップス・コーマックの記述によると、ゴッブ・イドゥ・インは、シャナウディシットが描いた絵で表現されている。この単語は最後のビーオタック族と考えられているシャナウディシットとの会話の中でWE.コーマックが記したものである。彼女の英語はたいしたものではなかったが、ブロークンな英語でビートタックの言語や彼女が描いた絵について話を通じさせることはできた。彼女はニューファウンドランドの海岸で捕らえられ、1823年には明らかに餓死寸前であった。彼女はセントジョンに連れてこられ、コーマック氏と1928年まで5年間、功績をたたえられつつ生活を共にした。彼女は1829年6月6日に亡くなり、彼女の仲間とその文化を伝える最後の1人が失われたとされている(1915年のハウレイの著書による)。
xi Aquilae bEwinon エウィノン
羽毛または羽根を意味するビーオタック語(1915年のハウレイの著書による)。人類学協会のキング博士の出版されなかった単語リストに由来し、米国哲学協会のアルバート・S・ガチェットによって広く用いられている。
Aquila[わし座]はラテン語で鷲を意味するので、この星座で見つかった星系には、ビーオタック語の鷲と羽毛を示す単語が相応しいと考えた。恒星にビーオタック語の鷲(Gobidin)を選んだのは、恒星がこの系で最大の天体だからだ。惑星はずっと小さな構成要素なので、ずっと大きな鷲を構成する小さな要素が羽根であることを鑑み、ビーオタック語の羽毛(Ewinon)とした。
ニューファウンドランドにいたビーオタック族は絶滅した民族で、その言語は他の原住民のそれとは大きく異なっていたと考えられている(1915年のハウレイの著書による)。絶滅した民族の化石化した言語なので、現役の言語のように意味の変化が起こらないという点で、これを科学的用語として用いるのは妥当である。
また、直接的にせよ間接的にせよ、ある民族を絶滅させてしまったという、ニューファウンドランドやカナダ、さらには英国の文化という時間内での枠組みで考えると、ビーオタック族はその代表と言えよう。よって、小さなやり方であるものの、これらの人々に注目してほしいし、そのことで彼らの言語を不滅のものとし、元に戻すことはできないにせよ、彼らをしっかりと忘れずにいるための一助になって欲しい。


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