IAU公式サイトの投票ページに掲載されている、各団体が書いた文章(英文)をもとに提案名の由来について簡単にまとめました。史実や神話、小説等の厳密な内容については責任を負いかねますので、ご了承下さい。(ここに記載した由来は提案者の記述によるものであり、必ずしも事実を反映しているとは限りません。)
また提案名によっては、公式投票ページより、提案者からの動画にリンクが貼られているものがあります。この日本語サイトではリンクを貼っていません。動画は公式投票ページのリンクよりご覧下さい。
※ 公式サイトの投票ページにおいて、提案名の記載の順番がページ開き直すたびに変わります。ご注意下さい。
主星or惑星名 | 提案名 <日本のグループからの提案> |
PSR 1257+12 | Rock’n’Roll Star ロックンロール星 ロッキー、アンディー、ローリーを伴ってリズミカルにダンスする星。 PSR1257+12は、おとめ座にあるパルサーで惑星が3つある。 1つはとても小さな岩石惑星で、他の2つは地球程度の質量の惑星である。 これら3つの惑星をロッキー、アンディー、ローリーと名付けたい。 なので、この恒星はロック[岩石]とロール[回転]の星を縮めてロックンロール星として1つの世界としたい。この恒星は脈動的な電波変光する星で、電磁放射の光線[ビーム]を伴って高速で自転しており、そこからロックミュージシャン[ロックンロール演奏家]の舞台[ステージ]を連想した。 フラッシュライト[閃光灯]を浴びているロックスター[人気があるロックンロール演奏家]のようにリズミカルに踊る星という意味合いもあって提案した。 |
PSR 1257+12 b | Rockie ロッキー 岩石惑星PSR1257+12bはとてもちいさな岩石惑星で月の2倍の質量しかない。 なので、我々はロッキー[岩だらけ]の名を与えたい。 綴りをRockyではなく、Rockieとしたのは、星座がおとめ座なので、女性っぽい名前の方が相応しい感じがしたからである。 |
PSR 1257+12 c | Andie アンディー 岩石惑星PSR1257+12cは、地球程度(4倍くらい)の質量の、小さな惑星で、その可愛い(?)姉妹であるロッキーとローリーと共にパルサーの周りを巡っている小さなダンサーのように見える惑星である。 |
PSR 1257+12 d | Rollie ローリー 岩石惑星PSR1257+12dは、もう1つの地球程度(4倍くらい)の質量の、小さな惑星である。この惑星をロッキーとアンディーの姉妹としてローリーとすることを提案する。そうすると、3つの惑星はロッキーとアンディーとローリーになる。 これら3つの小さな惑星はステージ上で歌いながら母なるパルサーの周りを自転しつつ公転している様子を想像させるだろう。 |
提案者からの解説あり: PSR1257+12はおとめ座にあるパルサーで、質量が月の二倍足らずの小さな岩石型惑星と地球の4倍程の惑星2個が回っているので、私達は、3惑星を下記のように命名したいと思います。 続きを読む |
主星or惑星名 | 提案名 <日本語名> |
PSR 1257+12 | Nozomi のぞみ この惑星系は1992年に発見された。 この惑星系の恒星は非常に速く回転している。 日本で新幹線のぞみ号が運転を開始したのが、まさに1992年である。 新幹線は世界の高速鉄道の中で、非常によく知られたものの1つである。 また、新幹線の高速さは、この恒星の性質に相応しい。 “のぞみ”は日本語で望みや希望を意味する。 なので、我々はこの恒星を“のぞみ”と名付けた。 |
PSR 1257+12 b | Komachi こまち この惑星系にある他の惑星に比べて、この惑星は小さい。 “こまち”は新幹線の中で最も小さく、この小さな惑星には相応しい。 “こまち”は日本語で“小さな町”を意味する。 なので、我々はこの惑星を“こまち”と名付けた。 |
PSR 1257+12 c | Hikari ひかり この惑星はとても大きい。 “ひかり”は日本の新幹線の中ではとても有名でかつ最も歴史的である。 “ひかり”は日本語では暖かさや光を意味する。 なので、我々はこの惑星を“ひかり”と名付けた。 |
PSR 1257+12 d | Sakura さくら “さくら”は桜を意味する。 日本人はみな、日本を象徴する桜の花が好きだ。 この惑星は大きい。 また、新幹線さくら号は非常に長距離で運行されている。 なので、“さくら”は、この惑星がとても大きいことを思い起こさせる。 |
主星or惑星名 | 提案名 |
PSR 1257+12 | Photo フォト フォトはギリシア語で光。この星はパルサーなので2つの光線[ビーム]を放っている。フォトはこのパルサーが光を放っていることを強調する名前として妥当であろう。 |
PSR 1257+12 b | Lofio この星は見つかっているうちで最も小質量の太陽系外惑星なので、ふわふわの羽毛を表す、このギリシア語が妥当。羽に次いで密度が低い太陽系外惑星には心底相応しいと思う。 |
PSR 1257+12 c | Xekiniste 最初期に発見された太陽系外惑星なので、このギリシア語が妥当。この名前は太陽系外で多数の惑星が見つかってきたという新時代の始まりを意味する。 |
PSR 1257+12 d | Amydrós 一番外側を回っている惑星なので、最長の軌道を巡っており、[主星であるパルサーからの]光線を最も大きく遮っている。このため、パルサーの光線[ビーム]を最も淡く薄暗くするので、淡く薄暗いことを意味するギリシア語が相応しい。 |
主星or惑星名 | 提案名 |
PSR 1257+12 | Falzares ファルザレス ラディン族[北東イタリアで使われているレトロマンス語の方言であるラディン語を話す人々] に伝わるドラシーラ[Dolasilla]伝説にあるファネス人の強欲な王の名。時として臣下を裏切り、その悪しき行いによって岩に変えられた。 |
PSR 1257+12 b | Spina del Mul スピーナ・デル・ムル ラディン族に伝わるドラシーラ伝説に登場するドラシーラの敵となる強力な魔法使いの名。スピーナ・デル・ムルとは、ラバの骸骨という意味で、彼のいつもの外見を表している。 |
PSR 1257+12 c | Luianta ルイアンタ ラディン族に伝わるドラシーラ伝説では、ファネス人の姫でドラシーラの姉[妹かも]。 |
PSR 1257+12 d | Dolasila ドラシーラ [ドラシーラの正しい綴りはDolasilla。] ラディン族に伝わるドラシーラ伝説に登場する王の娘。彼女はほとんど無敵の戦士で、彼女の味方であるエイ・ディ・ネットと共に、敵の魔法使いスピーナ・デル・ムルと数々の栄光に満ちた戦いを繰り広げた。しかしながら、最後には王が臣下を裏切り、ドラシーラは自らの矢に当たって戦死してしまう。王は、その悪しき行いによって岩に変えられてしまった。 |
提案した名前は、ファネス人についてのラディン語の伝説に書かれているが、ファネス人は、大昔に、ユネスコ世界自然遺産である南チロルの山々にあるドロミーティ地方に住んでいたと考えられている。ドラシーラとルイアンタはファネスの強欲な王の娘である。小人たちがドラシーラに白い甲冑と決して外れることのない銀の矢を授け、彼女はほとんど無敵の戦士となった。彼女の味方であるエイ・ディ・ネットと共に、彼女の敵である魔法使いスピーナ・デル・ムルと数々の戦いを繰り広げた。しかしながら、最後には王が臣下を裏切り、ドラシーラは自らの矢に当たって戦死してしまう。王は、その悪しき行いによって岩に変えられてしまうのだった。今でもファルザレス峠で彼を見ることができ、ラディン語では“偽りの王”の意味で使われている。
この名を選んだのは、ドロミーティ地方のファネス人の王国がブルーニコの南にあり、少数民族であるラディン族から多くの児童が我々の学校に通っているからである。石になった王の名は中性子星に完璧に合っている。この伝説には他にも多くの名前が出てくるので将来、PSR1257+12で新たな発見があった場合にも対応できる。 ファネス人の伝説についてもっと知りたい人は、http://astrocusanus.org/nameexoworlds.htmlを見て下さい。 |
主星or惑星名 | 提案名 |
PSR 1257+12 | Fyren フィーレン 恒星と惑星の名前はトーベ・ヤンソンの本“ムーミンパパ海へ行く”に登場するキャラクター[登場人物]から採用した。これはムーミン一家がムーミン谷を離れ、目立つ灯台があるだけの荒涼とした小島に滞在する話である。PSR1257+12のようなパルサーは天然の銀河灯台と見なすことができる。この星をスウェーデン語で小さな灯台を意味するフィーレンと名付けることを提案する。そして、このパルサーにある3つの惑星には他の主要なキャラクターにちなんで名付けた。最も内側を巡る惑星リッラミイは小さなミイ[スウェーデン語での2語Lilla Myを繋げて1語に]にちなんでおり、他の惑星よりも小さくすばやい。中間にあるムーミン[スウェーデン語ではMoomintrolletだが、前半のみとして綴りも変えてある]は、この話の中心人物である。そして、最も外側にあるモラン(英語版ではグローク)は島をゆっくりと回っていて遠くから事の次第を観察している。 トーベ・ヤンソン(1914-2001)はスウェーデン語を話すフィンランド人作家で子供たちにはムーミンの本でひじょうによく知られている。 |
PSR 1257+12 b | Lillamy リッラミイ 最も内側を巡る惑星リッラミイは小さなミイにちなんでおり、他の惑星よりも小さくすばやい。 |
PSR 1257+12 c | Mumin ムーミン 中間にあるムーミンは、この話の中心人物である。 |
PSR 1257+12 d | Mårran モラン 最も外側にあるモラン(英語版ではグローク)は島をゆっくりと回っていて遠くから事の次第を観察している。 |
主星or惑星名 | 提案名 |
PSR 1257+12 | Regina apis レギナ・アピス レギナ・アピスとはラテン語で女王蜂のことである。 これは蜂の群れの中心に君臨しているように見えることから名付けた。加えてハチの針がPSR1257+12のパルス[時間的に短い間だけ光る]の波形を思わせるからである。 |
PSR 1257+12 b | Punica malus プニカ・マルス プニカ・マルスとはラテン語でザクロのことである。 おとめ座の伝説に登場し、豊穣の象徴である。無数の赤い果肉のように、女王蜂のイメージはたくさんの働き蜂を率いている。 |
PSR 1257+12 c | Tillia ティッラ ティッラとはラテン語でシナノキを意味する。 シナノキは寛大さの大きさ[訳者には意味不明]であり、万人を受け入れる木であり、PSR1257+12の惑星の大きさになぞらえている。 |
PSR 1257+12 d | Laurus ラウルス ラウルスとはラテン語で月桂樹のことである。おとめ座は全天で2番目に広い星座である。太陽系外惑星として最初に見つかった惑星の栄誉をたたえて月桂冠を与えることで偉大な意味を付けたい。 |
パルサーが惑星を持っていたとは!
対象となる惑星系を調べた結果、このパルサーが20番目として最後に示されたものだった。
私はとても衝撃を覚え、頭が真っ白になった。しかし、とても興味深いと感じた。
そのうえ、面白そうな惑星系はいくつかあったが、最後に目にとまったのが、このパルサーだった。
このパルサーは、おとめ座という愛らしい名前と対照的に蜂の鋭い針を思い起こさせた。
おとめ座に関連したザクロは、その暗赤色がパルサーの謎めいた雰囲気を感じさせ、この小さな果実がこの惑星の大きさを表していると思う。
残りの2つの大きな惑星はシナノキと月桂樹にした。
シナノキの蜜は甘く、月桂樹からは栄光と勝利のような勇ましさを感じる。
この強力なパルサーと愛らしい おとめ座とをうまく表現するのは難しいが、両方を想像できる名前ではないかと思う。
[訳者注:この提案文は英文が不完全な部分が多いため、訳者の推測によって他よりも著しい意訳をしています。] |
主星or惑星名 | 提案名 |
PSR 1257+12 | collialbani コッリアルバニ [本来はColli Albaniと2語で、アルバノ山地のこと] この名はイタリアのローマの南の地方にある、巨大な火山複合体である。火山の頂上には千年以上前の古い町の遺跡がいくつも見つかっており、そのいくつかは青銅器時代にまで遡る。カーボ山(主要な高峰の1つ)にはユピテル・ラティアリス神を祭った重要なローマ神殿があった。この火山からの火成岩でローマ帝国の建国の地となった有名な7つの丘が形成された。 |
PSR 1257+12 b | maschiofaete マスキオファエテ [本来はMaschio delle Faete] アルバノ山地の最高峰。海抜956mでローマからでも容易に見える。 この高地は古代第4紀の火山の堆積物で最後の噴火は約27000年前であり、今日でも依然として基部となっている。 |
PSR 1257+12 c | montecavo モンテカーボ [本来はMonte Cavoと2語でカーボ山のこと] アルバノ山地火山群で2番目に高い山。ローマ時代以前の文明とローマ文明が、その上にユピテル・ラティアリス神殿を建立したため、神聖なる山とされていた。 |
PSR 1257+12 d | montepeschio モンテペスッチョ [本来はMonte Peschioと2語でペスッチョ山のこと] アルバノ山地で3番目に高い山で、ラツィアレ火山の周囲にある第2外輪山。 |
主星or惑星名 | 提案名 |
PSR 1257+12 | Gravitas グラビタス グラビタスは古代ローマ文明での美徳の1つ。これは信頼できる人々の資質として期待されるものであり、そこからラテン語では重さを表す単語でもある。PSR1257+12のような中性子星では重力がめだって強いことは確かである。さらに、パルサーの名高いパルス[時間的に短い間だけ光る]の安定性は、おそらく、タイミング法によって惑星を見つける根拠となったものであり、うち1つ(PSR1257+12b)は地球の月程度に小さい。この星の信頼性に対するヒントがグラビタスの名に値しよう。 |
PSR 1257+12 b | Trivia トリビア これまでに見つかった中で最も小さなもの。トリビアの名は古代ローマでの月に対する別称の1つに由来する。この月くらいの大きさの惑星が、他のどの惑星よりも地球の月に似ているという認識を持つのは当然だろう。この名は“つまらない”という単語[trivial]の短縮形のように聞こえるかも知れないが、このちっちゃな惑星がグラビタスと名付けたパルサーの強烈な重力場、それに加えて、強烈な放射場の中に囚われている、いかに些細な存在であるかをうかがわせるものでもある。ラテン語でのトリビアは、月が動くと考えられる3つの向き(高さ、幅、長さ)という点で関連があり、この惑星が強い重力的摂動に晒されていることを思い起こさせるものである。 |
PSR 1257+12 c | Antevorta アンテボルタ ローマ神話でのアンテボルタ[日本ではアンテヴォルテまたはアンテウォルタと表記]は未来[英語では幸運という意味もある]の女神であり、過去を司る女神ポストボルタ[日本ではポストウォルタと表記]の対照となる。その姉妹惑星であるポストボルタ(PSR1257+12d)よりも速いので、アンテボルタはそれに先行しているが、その際には、パルサーであるグラビタスの周りを、ポストボルタと3:2共鳴をなして公転している。アンテボルタが3周するごとにポストボルタは2周しかしないのである。つまり、アンテボルタでの3年はポストボルタでの2年に相当するわけだ。その暦は速くめくられるので、ポストボルタの観点からするとアンテボルタはあたかも未来を予見するものといえるだろう。 |
PSR 1257+12 d | Postvorta ポストボルタ ローマ神話でのポストボルタは過去を司る女神であり、未来を司る女神であるアンテボルタの対照となる。その姉妹惑星であるアンテボルタ(PSR1257+12c)よりも遅いので、ポストボルタはその後ろにあるが、その際には、パルサーであるグラビタスの周りを、アンテボルタと2:3共鳴をなして公転している。ポストボルタが2周するごとにアンテボルタは3周するのである。つまり、ポストボルタでの2年はアンテボルタでの3年に相当するわけだ。その暦はゆっくりとめくられるので、アンテボルタの観点からするとポストボルタはあたかも過去を確認するものといえるだろう。 |
天文学者はみな驚いたと思われるが、パルサーPSR1257+12は太陽系外で最初に見つかった現実的な“太陽”であり、それは1992年に遡る。その3つの惑星は太陽系外惑星としてごく初期に見つかったのだ。この議論を呼びそうでありながら象徴的ともいえる発見は、パルサーがその周囲を巡る世界[惑星のこと]を持つという異常に魅力的な環境を提供していることもあり、古代神話につながる名前を付けて祝すに値しよう。古代ローマ神話から採ったので、この普通でない惑星系に対してローマ・プラネタリウムが選んだ名前は、そのメンバー[構成天体]の異なった特徴を一語で表すのに相応しいものである。この系の中心にはパルサーのグラビタスが輝いている。それは中性子星で、恒星のうちで最も強い重力場を持っている。グラビタスは信頼というラテンの美徳を表す。最も内側の惑星(PSR1257+12b)は他の惑星よりも地球の月と比較しうる天体である。トリビアはこれに対する固有名詞で、余り知られていないローマでの月の別称である。2つのスーパーアース[超地球:地球の数倍程度までの質量を持つ岩石惑星のこと]はグラビタスからもっと離れた所を運行しており、3:2の軌道共鳴にある。グラビタスを巡る、これらの結合した踊りは一方は速く、もう一方は遅く進む2つの時計の刻みに似た、永遠のリズムに従っている。アンテボルタ(PSR1257+12c)とポストボルタ(PSR1257+12d)がそれらの名前で、未来と過去を司るローマの女神の名前に由来する。 |
主星or惑星名 | 提案名 |
PSR 1257+12 | Hubris ヒュブリス[英語で自信過剰の意] 神々は、過剰な自信すなわち自尊心が大きすぎうぬぼれている性質を示す奴を罰するものだ。ヒュブリスは強烈な電波エネルギーの突風を送り出しているパルサーであり、その惑星をパルスの一つ一つに伴う懲罰的な放射線を浴びせている。 主星(ヒュブリス)は地球の両半球から観測でき、そこにはイカリア島(ギリシア)も発見者A.ヴォルシュチャンの母国であるポーランドも含まれる。ヒュブリスは提案している組織の母国であるオーストラリアからも見える。 |
PSR 1257+12 b | Gymnasia ギムナジア ギムナジアとムジカはともに1日のうちの時間帯を擬人化した女神である。ギムナジアは教育と練習に充てる午前の時間帯を司る女神で、その妹[あるいは姉]のムジカは音楽と勉学に充てるための1日の3番目の時間を司る。これらは、2つの惑星ムジカとギムナジアが2:3の概略平均運動の共鳴にあり、母星であるヒュブリスの周りを繋がって運動しつつ、踊っていることとうまく結びついている。 伝統的にギムナジアとムジカは時を擬人化したクロノスの娘である。母星であるヒュブリスからの強い電波パルスの精密な測定が、繋がった踊りの結果として生じたパルスのタイミングの僅かな変化の発見へと繋がり、今度はそれが、おおむね等しい大きさの調和がとれた姉妹の組の発見をもたらした。したがって、これらの天体の名前にも時と深い繋がりを持つ名前が相応しい。 |
PSR 1257+12 c | Musica ムジカ [ギムナジアと同一文につき省略] |
PSR 1257+12 d | Icaria イカリア 3つのパルサー惑星の内、一番内側を巡るイカリアはエーゲ海に浮かぶギリシアの小島(北緯37°35’、東経26°10’)の名前にちなんでいる。こちらは古代のイカルスの伝説と関連しており、蝋で付けた翼で飛ぶ際に強烈な輻射をもつ太陽に近づきすぎたのである。 この小さな惑星は接近軌道(長半径がわずか0.19天文単位)であり、凄まじい超新星の後に残った脈動を示す電波源であるヒュブリスからの強い懲罰的な放射線を浴びている。 イカリアはこの小さな惑星の名として、イカロスに代わって選んだもので、ヒュブリスの3惑星の名はギリシア神話を通じるものの他に発音が関連していることで確保されている。 |
太陽系天体の伝統的な命名は古代の伝説から来ており、その伝説と遠くの世界への魅力を際立たせる一助となり、これこそが、この過程を通して国際天文学連合が遠くの惑星に名前を付けることで唯一の強化されるところである。 |
主星or惑星名 | 提案名 |
PSR 1257+12 | Lich リッチ PSR1257+12のようなパルサーは強く磁化された中性子星である。すなわち、非常に重い星が超新星で死んだ後にできる最終生成物である。換言すればパルサーは“死を拒絶した”かつての大質量星の亡骸である。たとえ、その星が専門用語として死んでいえる(核融合がない)としても、パルサーは依然として電磁放射を放っている。つまり、未だ死んでいない星、つまりゾンビ[生ける死者、亡者]の星と考えることもできる。 “リッチ”とはファンタジー文学で亡者のことで、しばしば骸骨の身体として表現される。加えるに、リッチは他の死霊の動物に対して権勢をふるう。 パルサーは死んでいないので、“骸骨”の形態(結局のところ、唯一残るのは、その原形である恒星の芯)であり、他の惑星に対する権勢をふるう(というのも、惑星はパルサーを巡る軌道に捕らえられているからである)。“リッチ”はこの恒星の芯であり亡骸であるものを記述するのに妥当な名前である。 |
PSR 1257+12 b | Draugr ドラウグル ドラウグル(辞書的には“再生者”の意)は北欧神話で完全には死んでいない生き物である。 惑星形成論ではパルサーの周囲の惑星はおそらく惑星形成の第2幕として超新星爆発の破片を浸かって形成されたとされている。したがって、以前は恒星を構成していた、この破片(ガスや塵)は、今では恒星の残骸を巡る軌道にある惑星の形態となった“再生者”であるといえる。 |
PSR 1257+12 c | Poltergeist ポルターガイスト このパルサーを巡る惑星は直接検出されたのではなく、いわゆる“パルサータイミング法”、すなわち、パルサーの周囲を巡る惑星によって引き起こされるパルサーの“脈動”周期の変化から間接的に発見されたものである。この変化は正確で精密なタイミング測定によって測定可能である。 ポルターガイストは物理的な騒動(音や物体を宙に飛ばすなど)を引き起こす幽霊の一種で、この惑星が主“星”の脈動周期にもたらす変動に似ている。たとえ、(パルサー周囲を公転するこの惑星がそうであるように)ポルターガイスト自体は目に見えなくとも、それが周囲に及ぼす影響(周期の変化)を目にすることができる。 |
PSR 1257+12 d | Phobetor ポベートール ポベートール(“恐怖に満ちたおどろき”の意)はギリシア神話に登場する夢を司る3柱の神の1つであって、悪夢を擬人化したものである。 実際に発見されるまでは、パルサーを巡る惑星など悪夢に似たとても乱暴な夢想であると多くの天文学者が考えていた。激烈な超新星を生き残る惑星があるとは予想していなかったし、超新星の残骸から惑星が形成されうるとも考えていなかった。 この惑星は、どちらかといえば悪夢のような形成過程を経験しており、地球ではどれほど悪夢に似たことが起こるのかと考えてしまうのでポベートールは相応しい名前である。 |
主星or惑星名 | 提案名 |
PSR 1257+12 | Shumba シュンバ[読みは訳者の推測] シュンバとは、ショナ語[アフリカのジンバブエやザンビア南部に住むショナ族の言葉]でライオンのこと。 この星系は全体としてライオンと関係している。というのは、ライオンはしばしば百獣の王と表わされ、全体として動物王国を代表するとされているからである。同じように、この星系の名がすべての構成部分を表している。1つの星系で最も重要な点は、これが恒星であるということである。この恒星からの輻射は、それゆえ、ライオンのたてがみを象徴するものと考えることができる。 |
PSR 1257+12 b | Chui チュイ[読みは訳者の推測] チュイとは、スワヒリ語[東アフリカの言語]で豹のこと。 豹は5大[動物]の中で最も小さく、最もすばやく、かつ最も賢い。その意味で、この星系で一番小さく、最も速い軌道を巡っている、この惑星に似ている。 |
PSR 1257+12 c | Ndlovu ンドゥロヴー[読みは訳者の推測] ンドゥロヴーとは、コーサ語[南アフリカに住むコーサ族の言葉]で象のこと。 この星系で一番大きな惑星であり、象は5大動物宙では象がそうなので、象にちなんで後から2番目の惑星の名として選んだ。これは、象の雌の長という特徴も表現している。これらの特徴は、保護使用とする特性(この星系の外側の環の近くに位置する)や、大きさ(雌の長は一般に群れの中で一番大きな象である)、恒星を巡るのに長い時間を要するという速さなどの意味を含んでいる。 |
PSR 1257+12 d | Linare リナーレ[読みは訳者の推測] リナーレはセソト語[アフリカの国レソトの公用語]で水牛のこと。 この星系の最後の惑星のように、水牛は大きな動物である。この最後の惑星が恒星の周囲を巡っているように一定のペースで移動する。雌の水牛もしんがりを務め、肉食動物から群れを守っている。この外側の惑星も内側の惑星をこの星系に侵入しようとしてくるかもしれない破片から守っている。 |
我々の発想は、この星系を自分の国とどうやって結びつけようかと考えようとしたときに生まれた。5大動物とはよく知られた象徴で南アフリカの野生地帯にいくと誰もがいつでも最初に探す対象である。不幸にして、5大動物の1つである犀はますます危機に晒されている。保護の努力をしくじり、犀は絶滅してしまったなら、この星系は、かつてはいた威厳のある動物がもはやいないという悲しい思い出となってしまうだろう。それは我々自身の世界を見ただけでもいかに重要であるかを示す証拠であり警告となるだろう。しかし…、もし犀が絶滅から救われれば、PSR1257+12は、我々が共通の目標を共有したときに人類が地球上で行うことができる善行に対する証しを確立することになろう。
南アフリカは驚くほどたくさんの国語があることでもユニークな存在として知られている。我々は多様で豊かな文化を知ってもらうために、異なったアフリカ言語で個々の天体を名付けた。5大動物は単に我々の国だけではなく大陸全体の象徴なので、アフリカの言語のうちのいくつかを異なるアフリカの国々から選んだ。名前としたシュンバと、チュイ、ンドゥロヴー、そしてリナーレがそれである。これらの動物を翻訳するとそれぞれ、ライオンと、豹、象、そして水牛となる。 この星系はおとめ座で見つかり、そこでは乙女を、彼女の創造物を見守っている大自然の母と見なすことができる。おとめ座は南半球からも見ることができる。 |
主星or惑星名 | 提案名 |
PSR 1257+12 | Dice ダイシィ ギリシア神話ではダイシィ[日本ではディケー]は正義の女神である。ヘシオドスによれば彼女には姉妹が2人おり、1人はエウノミアー(法の秩序)、もう1人がエイレーネー(平和)であって、その娘がヘシキア[読みは訳者の推測](心の平静)である。これらの名前が相応しいことには理由がいくつかある。ダイシィはクロノス時代および人類の黄金期[ギリシア哲学での人類史の区分の1つ]に地上で暮らしており、智恵と正義を執行していた。ゼウスがクロノスを滅ぼした時、人類は暴力や盗みや戦争をするまでに堕した。ダイシィは、人間性の罪に耐えられず、鉄の時代[ギリシア哲学での人類史の区分の1つ]には地上を捨て天上へと飛び去り、おとめ座となった。この比喩は中性子星の形成(それは恒星が鉄の核融合を続けることができなくなった際に、超新星爆発を起こして形成される)とこの星がおとめ座にあること(このパルサーの場所)との両方で適切である。 ディケーの娘であるヘシキアは彼女に最も近く、このため最も内側の惑星にはこの名を提案する。エウノミアーとエイレーネーは大きい方の2つ惑星の名として提案する。というのは、これらが最初に見つかったものだし、ほぼ同じ程度の大きさで3:2共鳴軌道にあるからである。つまり、法と秩序を表す女神であるディケー、エウノミアー、エイレーネーの釣り合いが取れた3人組のよい比喩となっているからである。確認された太陽系外惑星のうち最初の惑星系として、この星系はその歴史的地位に匹敵する、これらの名に値すると信じている。 |
PSR 1257+12 b | Hesychia ヘシキア[読みは訳者の推測] ヘシキアはディケーの娘であり、彼女に最も近い。そのため、我々は最も内側の惑星に対して、この名を提案する。 |
PSR 1257+12 c | Eirene エイレーネー エウノミアーとエイレーネーは大きい方の2つ惑星の名として提案する。というのは、これらが最初に見つかったものだし、ほぼ同じ程度の大きさで3:2共鳴軌道にあるからである。つまり、法と秩序を表す女神であるディケー、エウノミアー、エイレーネーの釣り合いが取れた3人組のよい比喩となっているからである。 |
PSR 1257+12 d | Eunomia エウノミアー エウノミアーとエイレーネーは大きい方の2つ惑星の名として提案する。というのは、これらが最初に見つかったものだし、ほぼ同じ程度の大きさで3:2共鳴軌道にあるからである。つまり、法と秩序を表す女神であるディケー、エウノミアー、エイレーネーの釣り合いが取れた3人組のよい比喩となっているからである。 (訳者注:(15) Eunomiaは小惑星に命名済み。従って、名前提案のルールに反している。 |